待ったなしの受動喫煙対策
~「国際シンポジウム」に参加して~

参議院議員 松沢成文

 

 数々の熱戦で盛り上がったリオオリンピックも終わりました。深夜から早朝のテレビ観戦で寝不足気味だった人も多いのではないでしょうか。いよいよ2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策に、待ったなしです。

 さて、さる7月30日に、WHO西太平洋地域事務局、厚生労働省、国立がん研究センター共催によるたばこ対策に関する国際シンポジウム「スモークフリー日本のビジョン実現のために」が開催されました。国内外から8名の方々が、それぞれの地域の受動喫煙防止対策の現状や、成立までの経緯などについて報告しました。その中からいくつか紹介させていただきます。

 オーストラリアは、タバコ対策について世界の最先端の国として世界中から注目されています。プレーンパッケージの実施、たばこ税の増税、喫煙禁止の空間の増加などなど、複合的に対策を行ってきた結果、喫煙率は年々低下し、過去最低を記録し続けています。来年にもまた最新の喫煙率のデータが公開される予定だとのことです。そうした中でも、全体の喫煙率が低下しただけでなく、若年層の喫煙率も大きく低下し30年前の3分の1以下になり、喫煙未経験率も大幅に上昇したとのことです。

 また、プレーンパッケージの導入は世界各国に拡がりをみせ、オーストラリアのあとに23カ国が導入、もしくは、導入を検討しています。

 ASEANでも多くの国々で受動喫煙防止対策が進んできており、10カ国がタバコのパッケージに対する画像付きの警告表示を導入、タイでは公共交通機関や医療施設、政府機関はもとより、ナイトクラブやバー、屋外の公共の場所に至るまで、全ての公共の場所は禁煙だそうです。

 ブルネイでは、事業所に近い歩道、禁煙が定められている建物の出入り口から6メートル以内での喫煙が禁止、また、タバコの小売価格の83%がたばこ税だそうです。

 フィリピンのダバオ市では、公共交通機関内、宿泊・娯楽施設内、職場、屋内屋外問わず公共の施設・場所を全て禁煙と、2002年にスモークフリー都市となりました。

 北京ではみなさんご存知の通り、2008年の北京オリンピック開催に際して、受動喫煙防止条例が制定されました。さらにその後、2014年に新たな喫煙規制が制定され、職場の室内、公共施設の屋内、公共交通機関での例外なしの全面禁煙が決められました。

 お隣の韓国では、2002年のサッカー日韓ワールドカップの際に、スモークフリーのワールドカップとして国のたばこ対策キャンペーンを併せて行ったところ、国民の認知度を高めることに成功しました。国際的な大きなイベントは国内外から多くの関心が注がれ、イベントを通して一般市民へ公共政策の周知し、関心を高めてもらい、国際基準のタバコ対策を広く一般市民に知ってもらういい機会となります。その経験を活かし、来る2018年の平昌冬季オリンピックでも、スモークフリー環境推進のための大いなる機会として取り組む予定だとのことです。

 どの国でも、日本よりも早くから積極的に受動喫煙防止対策に取り組み、時間をかけて現在の状況まできていることがわかります。

 各国で言われていたことのひとつは、分煙では意味はなく、公共の場所では全面的に禁煙としなければいけないということでした。分煙によりたばこの煙を完全に遮断し健康被害を防ぐことは非常に困難ですし、飲食店の分煙化では、そこで働く従業員の受動喫煙被害は防止できません。分煙では、費用がかかるわりに効果はあまりみられない、完全禁煙は簡単にでき、費用もかからないということでした。

 また、ただ禁煙にすれば全てが済むというわけではなく、プレーンパッケージ導入やたばこ広告の禁止、たばこ税を含む販売規制、啓発のキャンペーンや教育など、多角的複合的に対策を行うことで相乗効果を生み、より効果的に受動喫煙を減らすことが重要だということです。

 小池百合子新東京都知事は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、受動喫煙防止対策を推進するお立場のようですが、しっかりと今後の対応をチェックするとともに、私たちにも提言を行うなど積極的な取り組みが求められます。対立するであろう都議会自民党には「たばこ推進政策研究会」なる議員連盟まであるようです。そんな都議会自民党が、今後どのような形で小池新知事に対抗するのか心配ですが、そういった圧力には負けず頑張っていただき、東京を世界基準のスモークフリー都市にしてほしいと願っています。

(了)